当日は秋山里奈氏の『「春の声」Voices of Spring』展が開催されている中で行われたライブイベントでした。
幻想的な絵画に囲まれ、蝋燭の明かりだけが灯されたギャラリー。
床にはラグが敷かれ、その中心でスティルライフのお二人が、様々な音具や民族楽器を用いてパフォーマンスをされていました。
私たちはお二人を取り囲むように配置された席に座り、そこはまるで異国の教会にでもいるようなそんな素敵な空間になっておりました。
様々な楽器や非楽器を使って鳴らされる音、そして「鳴っている音に耳をすます」という原始的な音体験。
街の音や衣擦れの音なども加わり、まさに異国情緒溢れる空気感が全体を包んでいました。
1時間のライブイベントでしたが、時間の流れがゆっくりと進み、都会にいながらもどこまでも静寂な環境がそこにはありました。
ライブ終了後には使用された楽器や音具についての解説も。普段私たちが何気なく目にする石や、チューブ、さらに小学生のときに理科の授業で使っていた試験管等の日常にある物と、エストニアやインドの民族楽器について説明なさっていました。
日常にある物の音と、民族楽器の音が織りなす音の数々。
絵画に囲まれた空間とそこに流れる時間、そして何よりも今ここでしか聴くことのできない音による、まさに一夜限りの特別な夜のカタログが存在しておりました。